特に深刻な問題となっているのが、介護人材の不足と介護報酬削減による経営難だ。
深刻な人手不足と介護報酬の削減傾向が明らかになったのは、雇用情勢が上向きになった2012年からで、低賃金で労働環境が悪い介護職は世間に見向きもされなくなった。そこから介護事業所は「限界までお金を使わずにサービスのクオリティーを上げる」という、労働者にとって矛盾した方向に舵を切っている。
無駄を省くマネジメントだけでは、人材の確保やクオリティレベルの不足は補えず、高齢者に自立を促し症状を改善させてサービス量を減らす「自立介護支援」を実施したり、介護職に対して洗脳紛いの自己啓発することでブラック労働させたりといった、“それぞれの工夫”が乱立し、足並みの揃わない「カオス状態」が続いていた。
そんななか、先進的なマネジメント方法としてもっとも注目されていたのが、今井被告が在籍していた「Sアミーユ川崎幸町」を運営する株式会社積和サポートシステムと、その親会社である株式会社メッセージが開発した「アクシストシステム」だった。同社はこのマネジメント方式で「合理的な介護」を確立し急拡大を遂げている。
「アクシストシステム」とは、介護職の一日のスケジュールをコンピューターによって割り出し、分単位で介護労働を徹底する管理システムで、「Sアミーユ川崎幸町」でもこの仕組みが導入されていた。今井被告を含む、当時の介護職たちは、ライン表とよばれる分単位の毎日の作業表を渡され、それ通りに働くことを指示されていたという。
筆者の経験から言えば、介護は高齢者の生活を支える仕事であり、高齢者の症状も一人として同じものがない。日々なにが起こるかわからないなか、介護職個人の裁量を認めず、機械的な作業だけをこなすよう指示する「アクシストシステム」は介護の仕事に向かないのだ。
「あの事件で今井だけが裁かれるのは、どう考えてもおかしい。あのアクシストシステムは地獄です。あのシステムを使っている以上、また同じ事件が起こってもおかしくないと思っている」
死刑判決の日、元アミーユの介護職だったという男性から筆者宛てにこんなメールが届いた。
今井被告が殺人を犯した2014年当時、「Sアミーユ川崎幸町」の施設長が変わり、その上司が分刻みの業務に加えて、“手厚いお客様の対応”や“接遇”を要求していたことが、以前の取材で分かった。
余裕のない過密スケジュールのなかで、あくせく業務をこなす介護職に対し、さらにその業務範囲内で高齢者に手厚くサービスをするよう求める、割に合わない、偏った運営をしていたという。客観的に見てもこれでは上司である施設長と部下の介護職の間に歪みが生じるのもおかしくない。
介護業界だけでなく世間も揺るがした「川崎老人ホーム連続転落死事件」では、今井被告ひとりが逮捕され、結局彼だけが死刑判決を受けた。難を逃れた株式会社メッセージの経営陣は事件後、同社を売却。そのうちの一部は別の有料老人ホームを運営する同業他社に役員として招かれて、いまだアクシストシステムを使った介護事業を継続しているという。
介護職にお金がまわらない
現在でも介護現場は、この苦難がいつまで続くのかわからないまま、日々の現状を乗り越えている状態だ。介護人材の不足はもやは慢性化し、それゆえ一部の現場ではいまだ介護職に労働基準法をはるかに超えた「ブラック労働」を強いている。
人材不足のそもそもの原因は、介護職の低賃金によるものだ。介護報酬の処遇改善加算と、熾烈な人材獲得競争によって、賃金は徐々に上昇しているものの、“介護”は63職種のなかで圧倒的な最下位のままだ。「普通に働いて」「普通の生活」ができない業種に人材が集まるはずがない。
「介護事業者をとりまく一部の周辺事業者が、本来であれば事業所に入るはずの介護報酬に群がり、介護職にお金がまわらないという、とんでもない問題が限界まで来てしまいました」
こう語るのは、株式会社日本介護福祉グループ創業者である藤田英明氏だ。
周辺事業者とは人材会社、有料紹介会社、求人広告会社、コンサルティング、フランチャイズ本部など、介護保険事業所をクライアントとする業者を指している。そもそも介護職の賃金は、介護保険の介護報酬が原資となっており、本来であれば介護職に分配されるべき報酬が、こういった周辺事業者に流れてしまっていることが、介護職の低賃金の大きな引き金になっているという。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55149
カテゴリ: 介護
【動画あり】介護ロボット!導入した施設は5000か所に上がっているがその成果はいかに?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180410/k10011397591000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_008
4月10日 16時37分
大手住宅メーカーの「大和ハウス工業」は、10日から全国の工場で、作業員が体に取りつける装着型のロボットを新たに導入しました。
大和ハウスが、全国9つの工場に導入したのは、腰に取りつけるタイプの装着型ロボットです。
10日は茨城県龍ケ崎市の工場で実際に装着型ロボットを身に着けて作業する様子が公開されました。
ロボットは、腰の部分にあるセンサーが、脳から送られるわずかな電気信号を読み取り、モーターの力で荷物を持ち上げたり運んだりする動作を助けます。
腰にかかる負担を最大で40%減らすことができるということで、装着型ロボットを身に着けた作業担当者は、およそ30キロある住宅の床材を2人ひと組になって軽々と持ち上げていました。
大和ハウスでは、建設現場や工場などで働く女性が増えていることもあり、作業負担を減らすため、このロボットをつくった茨城県つくば市のベンチャー企業「サイバーダイン」に出資するなどして、開発を後押してきました。
大和ハウスの平原和洋工場長は「人手の確保が難しくなる中、きつい作業を少しでも減らすことで、女性や高齢者でも働きやすい職場づくりにつなげたい」と話していました。
救急の現場にも導入検討
装着型のロボットは、重い荷物を運ぶ物流施設など働き手の体力的な負担が大きい現場で導入が始まっています。
このうち羽田空港では、2年前、「サイバーダイン」が開発した装着型のロボットを、リムジンバスの乗り場に導入しました。
スーツケースを持ち込む外国人旅行者が増えていることもあって、現場の社員からは、乗客の荷物をバスに載せる際の負担が重くなっているという声が上がっていました。
スーツケースは、重いもので20キロ前後あり、社員からは腰の負担が減ったと好評だということです。
羽田空港では、10台の装着型ロボットを導入していて、今後、台数を増やしていくことも検討しています。
リムジンバスの乗り場で働く男性は、「荷物を持ち上げるとき、支援してくれるので疲れにくくなり、ありがたいです」と話していました。
ターミナルビルを運営する日本空港ビルデングの志水潤一次長は「2020年に向けて、空港内で荷物を運ぶ仕事などさまざまな現場で導入を進めていきたい」と話していました。
このほか、つくば市消防本部ではことし1月から先月にかけて、患者を運ぶ救急の現場に装着型のロボットを試験的に導入し、来年度からの本格的な導入を検討する方針です。
また、大阪の海運会社も大手電機メーカーの「パナソニック」が開発した装着型のロボットを荷物の積み降ろしなどに活用しています。
介護の現場でも導入進む
装着型のロボットは介護の現場でも導入が進んでいます。
埼玉県本庄市の特別養護老人ホームでは、去年2月に装着型のロボットスーツ2台を導入しました。
ベッドに寝ている高齢者を車いすに乗せたり、おむつを交換する時に利用しています。
施設が介護ロボットを導入したのは職員の負担を軽減するためです。
この施設ではほとんどの職員が腰痛に悩んでいて、介護ロボットを使うことで腰への負担が大幅に減ったということです。
国はこうした介護ロボットによって職員の負担が減れば、職場の定着につながるとして、平成28年度に補助金を支給しました。
この補助金を利用し介護ロボットを導入した施設は、去年3月の時点でおよそ5000か所に上っているということです。
施設では介護ロボットの導入で仕事の負担が軽減すれば、働きたいという人が増えて人手不足の解消につながるのではないかと期待しています。
特別養護老人ホーム「安誠園」の須藤百合香さんは「人手不足が深刻な介護の現場では、職員の負担を減らすロボットがとても効果的だ。価格が高いので購入できる台数は限られるが可能なかぎり導入していきたい」と話しています。
(リンク先に続きあり)
(出典 www3.nhk.or.jp)
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